昨日話した人は結局



思想家というか、哲学家というか、シャーマンというか、そんな類に属する人だと思う。
長い事ご教授してもらってわかったのは、この人は「俺らが何気なく使ってる感情」の意味を突き詰めて突き詰めて、ついに神がかり的な所まで達してしまったのだな、という事ぐらいで、それの全貌は最後まで明らかに出来なかったしそれは凡人の俺には出来るものではないと思う。たぶんホンマモンの宗教ってああいう感じの事なんだろう。
俺らが日常の喧騒を一生懸命に過ごしている所で、あの人は「死って一回味わってみたいもんだ」とか言ってる訳だ。そりゃ話が通じる訳がない。見てる所が違う人に対して、俺は「見てる所が違うねえ」としか言い様がないし、それに対し絶望する必要も無いと思う。
そして俺は日常に戻っていく。あの人はどっか遠い所に行く。共有する事は出来ないが、話を聞く事は出来る。それはさぞかし楽しいものになるだろう。