5日目

 今日は通夜だった。
 やばかった。もう泣くのをこらえるとかそんなレベルじゃなかった。大輪の花に囲まれて、自分の親友が笑ってるんだ。写真で。んで、その下には気丈に耐えてる嫁(友達)がいるんだ。隣が後輩だったとか全く関係なく、号泣してしまった。
 その後は同期のみならず、古巣の人たちと一緒に飲む事となった。俺は上機嫌になった。口も乗ったし、今まで会ってなかった連中が成長しつつ健在であるのは嬉しかったように思う。
 ただ、一人になってからとてもとてもつまらないと感じた。別に彼らが悪かったわけでは無い。俺は嘘を吐いていた。俺は辛気臭い話を人とするのが大嫌いなので、太郎に対しての悲しみを共有しないで、なるべく皆が楽しくなるように、面白くなるように話をしていた。俺は本当はそんな話をしたかったわけじゃない。というか、俺は話がしたかったのか?一番話がしたかったのは、太郎だ。
 また話がしたいなー。太郎と。俺はあいつと酒を飲むのが一番好きだったんだ。