大学生のジャズ


 というのを時々考える。目的はもちろん「人前で格好良い演奏をする事」だ(たぶん)。
 んで、その格好良い演奏という話は実に難しい。例えば、Spainみたいな見栄えのする曲をやれば格好良く見えるから練習するじゃない。主にテーマを。キメを。反復練習で。その甲斐あってピチッとキメられるようになったは良いものの、アドリブの研究は全くやっていないから思いきり稚拙なアドリブを曝してしまう、というのを本当に良く見る。更に言えば、それの繰り返しをする事によって「テーマ→完璧、ソロ→最悪」が固まってしまって、アドリブそのものに対するモチベーションが0になってしまう例も死ぬ程良く見る。
 大体において見栄えの良い曲はテーマも難しいが、ソロはそれに輪をかけて難しい。しかし、「格好良い演奏」をする為には少なくともどこかで見栄えを良くする必要がある。年季を重ねれば必然と見栄えは良くなってくるし、魅せ方も熟知してくるが、大学生の段階ではまだそこまで到達することが出来ない。ここにジレンマがある。ただでさえジャズというのは地味な音楽なのだ。そこを見栄えよく持っていくためには、何かしら無茶をしなければ到底達成することは出来ない。
 難曲を弾くか、アドリブで魅せるか。
 ちなみに俺は難曲を弾くという発想は当時余り持たなかった。まあ、たぶん頭が悪かったんだろう。アドリブの研究ばかりしていた。それでも「格好良い演奏をする」という事には随分悩まされた。よく「英才教育を受けてる奴には勝てっこない」と思ったものだ。