メイドとお坊ちゃま

:ねえ、渚さん
:何
:メイドなのに居酒屋が好きって、どうよ
:何が。悪くないじゃん。
:いや、もっとホラ、メイドっぽく、アフタヌーンティーとかさあ。
:ん?好きだよ?アフタヌーンティー。でもそれだけじゃあねえ。足りませんって。一日の疲れはやっぱビールで流さないと。
:おっさんくせえよ!
:普通だよ普通!普通の二十台の女の子は、ビールが恋人!
:ンな事だから人間の恋人ができねえんだよ!
:うるっさいチビ!
:お坊ちゃまに向かってチビ言うな!
:お坊ちゃまってツラかアンタが!いっつも陶器みたいな顔色してるくせに!
:顔色は関係ねえだろ!
:あのねー陽ちゃん。いい加減偏食はやめなよー?あたしが毎晩毎晩血と汗を流して作ってるスーパーな豪華絢爛料理、にんじんだけ器用に逃しやがって。
:に、にんじん嫌いなんだよ
:だっから背も伸びないんだアンタは!いっちょ前に口だけでかくなりやがって!
:アンタがでかすぎるんだよ!なんだ170センチて!女の身長じゃねえ!
:あ!傷ついた!その言葉、あたしを著しく傷つけた!復讐として今日はにんじん尽くしの料理作ってやる!逃げられないくらいにんじん尽くしの愛情料理を!
:え?いや、マジで?いや、ごめ。渚さんごめんなさいすんません。ごめんなさい。
:・・・「渚さん」の前にいつもの形容詞が足りないんじゃなーい?
:・・・・・・。
:ホラ、陽ちゃん、言ってみな?ホラ。
:・・・・・・・・・ムッカつくなー・・・。
:メイド様はその家の料理権を完璧に握ってんのよー?ホーラ、あんまり怒らせちゃいけないなあー。
:・・・・・・「モデルみたいに美人で美しい渚さん」、すいませんっした。
:ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!!!もう一回言うか?もう一回言っちゃうか!??
:うるせえ!!!!!勉強してくる!!!!!(バタン)

:・・・いやー可愛いなー陽ちゃんは。ハッハッハ。さて、仕事すっか。