マザー3の激しく駄目な所



*激しくネタバレです


 でだ。まとめる気も無いから端から端まで書いてしまうが、今回マザー3というゲームをやって、マザーシリーズでは初めてクリアまで行ったのだが(1,2は途中で挫折)とにかく糸井重里という人物の凄さと駄目さを同時に見せられた気がした。特に最終章は、感動しながら突っ込んでるという訳のわからない事態となってしまった。マザー3はミクロで見てみると最高のゲーム、マクロで見ると最低のゲームである。その最低な理由は以下。
 マザー3のマップはかなり狭い。街も3つしか無くて、実はそれには大きな背景があった。が、糸井さんはあろう事かその秘密を最終章まで何一つ漏らさず、しかもリダというキャラにいっぺんに喋らせてそれで終りにしている。マジでこれにはポカンとなった。いや、物語の前提を覆すってネタは反則だとは思わないしむしろ王道の一つだと思うのだが、それをいきなりノッポのキャラが「実は世界はこうだったんだ」て言うだけだとは。そりゃねーよ。マザー3は元々N64に作られていたゲームであって、本当は全12章あったそうだ。縮めなきゃいかん。それはわかる。ただ、伏線というものが必要でしょうに。悪役に「あの村人達に真実を知らしめてやる」て目的を入れるだけでも良かっただろうに。んで糸井さんはこの縮める作業をかなり凡雑にやっており、それが最悪の形で出たのが第2の叩く理由「ハミングバードの卵」である。
 ハミングバードの卵というのは第二章丸々使って主要キャラ2人(+サブ一人)が手に入れる最重要アイテムで、それからも「手に入れるもの」、「敵側に決して手に入れさせてはいけないもの」としてストーリーに大きく関わる。んで、このハミングバードの卵を無事保護してどうなるかと言うと、最後までどうもならないんだよね。リダって人が「ハミングバードの卵は村人の本当の記憶です」とか言うだけ。後はマジで出てこない。ラストにも何の関係も無い。ちなみに道具で「ひかりの卵」を今見てみたが、「世界を破壊する力と生み出す力を持つと言われる」と解説が打ってあった。持ってねえじゃん。いや、曲解すればそう言えなくもないけど、直接的には関係ないじゃん。というか、ハミングバード本体は最初から最後まで出てこないじゃん。
 ここらへんの決定的な矛盾と無理やりな解決法は、途中までハマりにハマっていた僕の脳を冷えさせるのに充分だった。
 つーかここまで伏線不十分、その癖既存の伏線を丸投げするゲームは見た事無いよ。伏線とかストーリーの整合性とかほとんど気にしないど素人の僕が見ても思う程の酷さ。はっきり言って、ハミングバードは要らなかった。もしくはドラゴンが要らなかった。世界を滅ぼす大いなる力と呼ばれるものは、最初から一つで充分だった。これはシナリオと容量の関係なんて次元じゃない。12章あったって、この問題は解けない。2章か7章を丸々削るべきだったか、その二つを融合させるストーリーを糸井先生は考えるべきだった。例えば、ハミングバードが「ドラゴンの頭脳」だというストーリー。そうすれば7章で全部の針が抜かれたとしてもドラゴンは復活せず、8章でのラストバトルにつなげる事も出来る。ポーキーが主人公をニューポークに呼びつける理由も出来る。他にも繋げ方はいくらでもあるだろう。なのに、実際にマザー3で取られた方法はプロとは思えない程の稚拙なものだった。他にもあるよ。変な所。
 しあわせの箱はあれだけ村を変えた元凶だったのにも関わらず一切説明が無いとかさ。
 ニューポークとタツマイリとコーバしか無いのにヨクバが「タツマイリとか言う田舎」て言うセリフとかさ。<あれだけ世界が小さければそんなセリフは出てこないだろ
 クラウスが結局死んで改造されたのか気絶した所を拾われたのかとか。(「想像する為の隙間」と「世界観の綻び」は全く違う)
 とにかく、演出は最高だったのにストーリーがラストで完全に崩壊してしまっていたのが残念。(最後まで演出は最高だっただけに)どうもマザー3はストーリー、世界観で見た場合ちぐはぐな部分が多すぎる。僕は序盤の展開が物凄く好きだった。平和な村に「金と欲」という余計なものを持ち込んだ謎の組織。望まない方向に変わっていく村と村人達。これからどうなるのかと物凄くワクワクしたものだ。それが…。マジでガッカリしたよ。そりゃ2chで叩かれるわ。糸井さんはこれで満足したと考えるなら、ゲームは一切作らない方が良い。もしくは、ストーリーに別口のシナリオライターを雇うべき。
うだうだ書いたけど一言で言うならプロットが破綻してますよと。発売遅れてもよいからもう少し練って欲しかった…。