クラシック


  ここ半年ほどクラシックを弾いている。
 と言ってもジャズやら即興やらをやめた訳ではない。相変わらずオールザシングスを弾いているし、マイナスワンと一緒にソロを弾く事もとても楽しい。最近はエイプリルを弾くのが楽しい。
 反面、クラシックは自分にとっては「型稽古」に属する。既に決まってるメロディ、運指をどれだけ「理想の表現」に近づけて運用させるか。ぶっちゃけ本格的にやればやる程自分が不器用で未熟なのを感じる。時々「レッスンやってみようかな」とも思ったりする。定期的にする気がなかなか起きなくて、想像で終わってしまっている話だが。
 クラシック(というかドビュッシーな)に興味を持ったきっかけってのはグランドピアノで練習出来る機会が増えたからってのもあるのだが、ここ一年ほど「身体の運用」に興味を持ち始めたってのも大きい。自分はもともと猫背で疲れやすく、それを改善する目的で「正しい姿勢」を模索し始めたら、「型」の重要性にも気づくようになった。
 正しいってのは、合理的って事でもある。合理的ってのは、美しい上に楽チンで、小さな力で大きなモノを動かす事が出来る。
 ピアノに於いても「正しい身体の運用」は非常に重要だと思うようになった。ドビュッシーは他の印象派と比べても「わかりやすく美しい」楽曲が多いが、それでもそれ以前の古典と比べると抽象的なメロディを持っている。それを「想像通りに」抽象的に弾こうとすると、「正しい」弾き方がどうしても必要となる。長さも筋骨の構造も違う左右の10本の指を、いかに同質に扱うか。また、左右のレンジが長いメロディを綺麗に弾くためには手首の回転と体重移動が重要となる。それを自然に扱うにはどうしたらよいか。
 面白いんですよ。
 反面、リズムに合わせて即興を弾くのも最高に楽しい。ただ、ジャズは「粗さ」も重要な要素な気もするので、そこまで丁寧には弾かない。それよりも本能的なグルーブを如何にあげる為に弾くか、という方が重要だ。
 ジャズはつまんねーけど絶対に面白く出来るんだよ!てのはずーっと思っている。正直にもう一度繰り返す。ジャズなんて面白くない。でも、絶対面白く出来る。そしてジャズとクラシックの両輪を追及していけば、ピアノはもっともっと楽しくなっていくだろうと思う。