もう少ししたら6月


 すると大学職員として働き始めてからもうすぐ一年なんだなあ、と思った。
 何ちゅうか、俺はだらっだらと生き続けてきてずっとジリ貧を繰り返している訳だが、それでも現在の状況を見るに「幸運だなあ」とかみ締めてたりする。今の仕事は別に面白くも何とも無いが、学生の相手をするのは一期一会が好きな俺としては有難い。仕事はクソつまらないが、何とかテンパり時期を今の所は脱出して穏やかな生活を送っている。
 俺は明らかに仕事が出来ない。それは間違いないのだが、環境が変わるだけでここまで違うものかと改めて思う。ちょい前は別の大学にいてまあぶっちゃけそれはクビになったんだが、そこと今で別に出来てる事は変わってないと思う。違うのは、ここでは仕事をくれて向こうでは仕事をくれなかっただけだ。それだけの違いなのに、向こうでは疎んじられてここでは奇妙な評価さえ頂けている。前の大学ではマジで一ヶ月くらいシラバスしか読んでない生活だったが、もしクビにならなくてもあそこで俺に未来はあったんだろうか、とふと思う。そう思うと本当に世の中というのは塞翁が馬だ。
 まあ、塞翁が馬というのは案ずるより産むがやすしとは全く違う言葉で、「なんとなく良くなったり悪くなったりするよ」的なニュアンスな言葉なので、これから何となく悪くなる事だって充分ある。というか、正直3年後にどうするかを漠然と考え続けている。一回だけ今の職場の正職員にチャレンジするチャンスはあるのだが、それで状況は変わるのか。更に、この地域、国で働き続けるのを求めた方が良いのか。楽観はしていない。していないが、もう少しアイデアがほしい。
 人に優しく。消費するのではなく育てていく。非常に偏った人間ではあるけれど、どうやら俺には人を若干ほっこりさせるという特性があるようだ。今の職場ではそれを十二分に使っていきたいなと思ってる。せめて、あと3年はね。