I Love You


 俺の中には「コード進行さえ同じならアドリブは皆同じになるんかい」という命題があって、その課題にILoveYouはまさにうってつけだと思った。Fの2-5が延々と速いテンポで続くこの曲。Fの2-5は自分にとって一番得意なキーなのでいくらでもネタが出てくる。それを延々と組み合わせていけばアドリブなんていくらでも弾けるはずなのだ。
 しかし、これが上手く弾けない。そんなに弾きこんでいないこの曲だが、たまに弾くと(大体軽々と弾く)いつも腑に落ちない表情になる。2-5だけではこの曲は「I Love You」にならない。なら「I Love You」になるのはどんな演奏なんじゃい、というのが俺を常に悩ませる所なのだ。
 もちろん、これがトリオで弾くのかカルテット以上で弾くのかでも随分条件は異なる。要は、テーマの後にアドリブをやって後テーマをやって、それが全てかっこいい演奏になればいいのだ。聞きながら「渋いねぇ」と知ったような顔で酒をかっ食らわれるようじゃ駄目なのだ。優れた演奏は、いつだって聞き手を忘我の境地に陥らせる。「届かせる演奏」は、「楽々弾けてはいけない」。俺の持論である。
 さてI Love Youだけど、ヒントはテーマのメロディにあるんじゃないかと思う。単純な2-5だけど、なかなか奇抜な良いメロディの曲である。まだ一向に進んでないけど、いつかはこの曲も「届けられる」ようになりたいものだ。