何だかんだ言って


 文章で書くのが一番楽だ。何でだろうね。
 中学の頃の話だ。俺がいつも言ってる高校の話ではない。中学の頃、俺はクラスメートに激怒して、醜態を晒した事がある。確か大声で泣き叫び、鼻息を荒くしながら、自分のノートを振り回してビリビリに破いてしまい、帰りに自分のマンションの奥で号泣した。その時その男に何が腹が立ったのかは今では全く覚えていない。ただ、俺は当時思春期で、母親のヒステリーな所が嫌いだった。理由も無く、正当性も無く気分だけで怒り狂う所が嫌いで正直軽蔑していた所さえある。そんな母親と自分が全く同じ事をしている。気分だけで怒りを噴出させてる。というのに物凄く悲しさを覚え、情けなく思い、その日は誰も居ない所で泣き倒した。その頃は母親の偉大さというのは分からなかった。ただ、自分が「理不尽にヒステリックに怒る」人間であるという事が判明し、それに対して嫌悪感を超えた自分への憤怒が止まらなかった。以来、俺は泣き叫んで怒った事が無い。
 自分は色々なものを得たけど、その代わりに色々なものを失った。大人になるというのはそういう事だろうと思っていたのだが、どうやら人によって個人差があるらしかった。俺は人に優しいとか暖かいとか良く言われてるけど、実は途轍もなく冷たい人間だと思っている。その冷たさは、一番は常に自分に向けている。自分でわかるのだ。鏡を見ると、時折、自分の目は冷え切っている。