さて、ジャズ一年生が③


 世の中には往々にして最初から千尋の谷に突き落とすシステムがまかり通っていて、最初の一歩が一番根性を使わなければいけない、という事が実に多い。仕事だってそうだ。「最初の一歩を用意する」てのは実は全ての事柄を体系的に理解していなければ出来ない事で、それは結構な労力を割かなければいけない。「知らない人の教育」をするのは常に面倒で厄介な事柄で、それゆえ中途半端なところで投げ出してしまう「教育者」が数多く存在する。まあ、世の中は自分の都合で出来ているのではない、というのを知るのには格好の教材なんだけど、大学入学まではキチンとした教育システムというものは既に出来上がっているので、それに乗っかってきた人はなかなか「気付く」事は難しいんじゃないかなと思う。この事はジャズにも当てはまる。というかジャズほど教育という事に未成熟なジャンルも珍しいのではないかね。
 実際、ジャズは理論もリズムも複雑だし、第一参考にすべきスタイルが多すぎる。
 俺はジャズを始める人は一回おおまかにでいいからジャズの歴史を攫う方が良いと思う。そうすると「ジャズ」というジャンルの中にいかに膨大な音楽が混在しているかがわかるからだ。それは即ち「求めるべき正解」が膨大にあるという事にも繋がる。初心者はこれを知ると混乱するし、実際ジャズ数年生も混乱している。「まずは好きなアーティストを探しなさい」と言うけれども、一体どうやって探したらよいのやら。先輩に聞いてみたら親切な先輩はCDを10枚くらい貸してくれた。目の前に積まれる10枚のCD(全部ジャズ)。俺だったら途方に暮れる。ぶっちゃけ、どれも同じに聞こえるんですけど。あとジャズってずっと聞くとすげー疲れるよね。*1
 まあ、一つ言いたいのはハードバップのコンボジャズをやる一年生にそれ以外のジャンルを教え込むのはたぶん無意味ですよと。参考にしたいのは「自分が今やろうとしている事のお手本」なんだから、それを逸脱したものをいきなり教えたらあかんだろう。*2とりあえずyoutubeで矢野佐織でも検索させたらどうだろうか。別に面白いプレーヤーじゃないけど、伝統的だし、実際に身近な年齢の人がやってる「参考になるジャズ」だと思う。もしくはオスカーピーターソン。単純に楽しいしね。
 さて、それでは実際ジャズ始めたばかりの人は何をやるべきかと言うとそりゃまた言える事はあるのだが、今回字数が増えすぎてるのでまた次回に。書いて欲しい人はリクエストでも書いてくだはい。

*1:そういう俺はジャズのCDは大して聞き込んでいない。みんな偉いナー。

*2:しかし恐ろしい事に、その「逸脱したもの」の方がCDショップに行くと圧倒的に多い。そりゃ混乱するわと。