ジャズと「個性」1


 最近I'll remember aprilを弾いているが、Gのキーが相変わらず慣れない。簡単に言えばGは練習不足であり研究不足である。これはDonna Leeを弾き始めた頃と全く一緒だ。弾きなれていない。基本コードから派生した人間味の無いフレーズしか出てこない。これら全ては「そもそも聞きなれていないし弾きなれていない」からだったりする。それはジャズではなく、ピアノ全体として。だから、「思いつく脳みそ」を作り上げるためにはとにかく弾きまくり、最初のイメージを形作る事が大切だ。最近は2-5練習を組みこみ始めた。
 ちなみに俺は気に入ったフレーズを書きとめておいても、反復練習なんてする事は無い。(俺はそこらへんが出来ない人間みたいだ)新しい可能性を指に馴染ませる、その事だけを目標に弾きまくる。毎日、少しでも余裕があれば弾きまくる。曲そのものに新鮮味が無くなったら一旦別の曲に数ヶ月変えて、それからまた改めて弾く。すると、不思議なことに今まで苦手だったのは何だったのかと、ちゃんとしたメロディが指から浮かんでくる。
 ジャズにおいてフレーズ練習、耳コピは結構大切だと思うけど、それが第一になってしまってはいけないと思う。一番重要なのは何か。アドリブをする時に自分の内側からメロディを浮かぶ、浮かばせていく、その為の「脳のプログラム作り」が一番重要なのだ。やれ誰それのフレーズが自由に弾けるようになった。それに何の意味がある。そんなものはセッションやライブで少しだけ耳障りの良くなる話題作りに過ぎないのだ。傍流としてはとても効果的なものだが、それが本流になってはいけない。本流はあくまでも「自分の手による創作」。それが無くなった瞬間ジャズは誰かれのコピーのみが価値を持つ「伝統芸能」に成り下がる。