オリジナリティについて


 たぶん「オリジナリティを出したい」と悩んでる人達は「他人と比較しての目新しさを出したい」と思っているのだと思う。そして、それは非常に困難な道だ。常に他人と比較しての新しいものを出そうとすると、どうしてもその場限りのものになりやすいし、そうでなければどこかの誰かが既にやっている場合がほとんどだろう。
 僕は思うのだが、「オリジナル」を「他人と比較しての新味」ではなく「自分独自のもの」と捉えたならば、そんなに難しいものでは無いのではないか。僕は今「暗点」という、真っ暗なところでピアノとパーカッションの即興演奏をやっているが、これだって一つ一つは別に目新しいところは無い。はっきり言ってダイアログ・イン・ザ・ダークの発想をパクっているし、似たようなアイデアを行っている人は他にもいる。しかし、僕はこれをオリジナルだと思っている。自分が一から積み上げて「これが俺のオリジナルだ!」と確信して作ったものだからである。
 オリジナリティを伸ばすには。
 とにかく自分の作るものに愛着を持つ事だと思う。自分の作ったものを「これは欠点だらけだ!」と考えるのではなく、「ここ、良いじゃない」と思う事。すると、その長所を伸ばしたくなる。その長所というのは「自分が見て良いところ」であるべきだ。「他人が見て良いところ」では無い。ウキウキしながら長所を伸ばしていく。「何かマンネリだな」と思ったら、何でも良いから新しい事を初める。そして、そこで新しく出来た長所を伸ばす。それを繰り返していく。
 ここでは「他人の評価を気にしない事」がかなり重要なポイントであって、それは確かに難しいことだと思う。しかし、単純に耳をふさげば良い。他人の口からオリジナリティは作られない。自分が「いいな」と思った事は、他人の「いいな」や「駄目だな」よりも遥かに優先する。何故ならここで言うオリジナルとは「自分独自のもの」だからだ。
 常に「自分が良いな」と思う事を黙々と続けていくだけで貴方の表現はいつの間にかオリジナルなものとなるだろう。それは、他人から見たら歪な代物に違いない。でも、僕はそれで良いと思っている。自分が表現したものに自分が満足することは、そりゃもう物凄い快感が伴うし、それを気に入ってくれる人がいるとしたら、それは貴方の内面を気に入ってくれる人と同義なのだ。