英語の悪口

 ここ数ヶ月英語にやけに触れてる俺が言うのも何だけど。
 いやね、今回の俺のチーフはかなり英語が堪能な方で、イベントの主メンバー(陽気な外人)といつも談笑しているわけ。んで俺は英語やってても喋るところまでは全然至らないから「すげーなー」とボンヤリと思いつつ、何か違和感があるわけ。そのチーフは外人の客が来たら英語で喋る。いや、その行為はとても偉いと思う。しかし待てと。何かがおかしいと。
 勿論日本という国は「サービス」の国であるわけで、そういう風に考えたら相手の言語で接して上げるというのはとてつもなく親切なことなのだろうと思う。しかし待てと。主メンバーと談笑しつつ後で「いや、彼女は彼が好きでね」とかどうしようも無い内容をカミングアウトされる俺としては疑問がぬぐえないのである。すっげネイティブな英語でペラペラと喋るとマジで一瞬ここがどの国なのか忘れてしまいそうになるのだ。あれ?何か英語の喋れない俺らは馬鹿みたいに見えてるけど、この場合日本語が喋れない外人メンバーの方がアホに相当するんじゃね?いや、わかるよ!英語が公用語で日本語が蛮語であるのも理解してるし、ネイティブの日本語を向こうが喋れないのも全く問題無いのはわかってる!でも、普通俺ら日本人がアメリカや英語圏の国にいったら現地の人には英語で喋るよね。わかんなくても、頑張ってポケット英会話開いて頑張ったりするよね。間違っても「ニューヨークにはどこ行ったらええんじゃい」なんて日本語で聞いたりしないよね。
 たぶんこれを読んでる人は俺のこの感覚を全く理解出来ないであろう。俺も普段から英語を勉強しているくせに、それも目的はたぶん英語圏の人と普通に話す事を目的としているのに、全くお前何を言っているのかという気分になる。しかし、外国から来たお客さん(イベントの主だとしても)を相手に、その外国の言葉で、しかもその外国のテンションそのままに合わせてあげる親切すぎる国際派チーフについて俺は恐ろしいほどの違和感を感じるのである。



 いや、たぶん言葉が足りないんだと思う。俺が感じた違和感は、英語に関してではないのかも知れない。折角外国から来た超絶テクを持っているミュージシャン達と、鍛え上げた英語力を駆使して、ただの色恋井戸端会議をしているところにあるのかも知れない。つーかそこは合わさんでも良いだろと。もっと言葉通じるなら実のある会話をしようぜ。そんな俺は帰り道にまたしても速読英単語(高校生ようの初歩の奴)を開くのであった。