贅沢


 何ちゅうか最近とみに思うのは、時間というのは贅沢なものだな、と
 そんな風に考えた私は週末夜に本屋で小説一気読みという暴挙をやってみました。すごい贅沢な気分になったけどそれを話したら結構本気で笑われた。
 ちなみに読んだのは悪の教典。こういう毒って最近大して読んでなかったから面白かった。終盤ハスミン無双になったのはメチャメチャ笑ったが、この小説は展開の荒唐無稽さでは無くサイコパスがどんなに訳わからん合理性で人を殺すのか、という所に焦点を当てたものだから全然オッケーなのだ。

「かりに、殺人が一番明快な解決法だとわかっていたとしても、ふつうの人間は躊躇する。もし警察に発覚したらとか、どうしても恐怖が先に立つんだ。しかし、俺はそうじゃない。X-sportsの愛好家と同じで、やれると確信さえできれば、最後までやりきることができるんだよ。X-sportsと同様、途中でためらうとかえって危険だけど、思い切って突っ走れば、案外走りきれるものなんだ。・・どうだろう。こんな説明で、わかってくれたかな?」
圭介は、絶句していた。目の前にいるのは、単なる殺人鬼ではなく、宇宙人よりもなお理解不能な存在だった。

 痺れるキチガイさ。