都合の良い世界


 母校のセッションに行くといつも思うけど、あそこは実に楽しい、素晴らしい場所だ。何が素晴らしいって、あの場所を維持していくための努力が何一つ「OB」の自分には必要無いのだ。場所は既にある。後輩は、先輩を敬ってくれる。強いて言えばピアノが上手い方が良いけど、そんなもんだ。必要なのは、そんな程度。
 だからこそ俺は楽しみ過ぎたらいけないような気がする。あんな責任の無い、都合の良い世界は一年に数回行くくらいで充分だ。楽なだけの世界は自分を堕落させてしまう。心底堕落しやすい自分にとっては、実に危険な空間だ。行くだけで自分が偉くなれるような所なんて、みだりに行くもんじゃない。


 と、ここまで書いておいて、ああ、俺って今の自分があんま好きじゃ無いんだ、という事に気づいた。