なりたかった自分


 飄々とした人間になりたかった。
 地に足がつかず、あちこちをふらつき回っていて、それでいて自らの能力でひょいひょいと周りを好転出来るような。そんな人間になりたかった。
 そんな俺がじわじわと地面に足を下ろしつつある。当たり前の事を繰り返して、繰り返していく事に自力の蓄積を感じる、そんな人間になりつつある。
 着いている場所は明後日の方角なのかも知れないが。なりたい自分から今の自分は離れているのだろうか。それとも、遠くに理想は霞んでいるのだろうか。